2025/10/22 00:00
—響きと余白に宿る、もうひとつの意味—
ブランド名をフランス語にした理由を聞かれることがあります。
英語でも日本語でも訳せる言葉なのに、なぜあえてフランス語なのか—。
そこには、言葉そのものがもつ“響きの質感”へのこだわりがあります。
響きが包む、やわらかな世界観
Morceau de Paradis—この言葉には、音の響きそのものにやわらかな息づかいがあります。
"Morceau"の「モルソー」という響きは、角のない空気のようにまろやかで、
"de Paradis"の「ドゥ・パラディ」とつながるとき、
まるで光がゆっくりと溶け合うような印象を残します。
その響きの質感が、この名前に込めた世界観—
「穏やかで、透明な美のかけら」をやさしく包み込むのです。
「Morceau de Paradis」は、英語の"A Piece of Paradise"と同じ意味をもちながらも、
言葉がもたらす感覚はまったく異なります。
フランス語の"morceau"は、語源的にラテン語"mordere"(噛む)に由来し、
もともと「噛み取られた一口」「小片」を意味する言葉でした。
そこから「作品のひとつ」や「光や空気の断片」など、
形のないものへも広がっていったのです。
"piece"も"a piece of advice"や"a piece of music"のように、
抽象的なものに使われることはありますが、
"morceau"にはどこか感覚的で、有機的なやわらかさが残っています。
それは、完全ではないものにこそ宿る美しさを愛おしむ、
フランス語ならではの余韻といえるかもしれません。
たとえば"un morceau de ciel"(空のひとかけ)や"des morceaux de lumière"(光の断片)という表現のように、
"morceau"は輪郭のないものまでも静かにすくい上げます。
そこには、「いま、この瞬間にある豊かさ」を感じ取る感性が息づいています。
Morceau de Paradisという名は、
切り取るように手に入れる"piece”ではなく、
静かにそこに在るmorceau de paradis—
日常の中でふと出会う、小さな「楽園のかけら」を意味しています。
その言葉の響きから、あなたの中にもやわらかな光が届くことを願っています。

